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Pipelines

自動化されたリリースプロセスを持つことはソフトウェアデリバリの重要な観点の1つです。Copilot はこれらのセットアップを可能な限り簡単にすることを追求しています 🚀

このセクションでは GitHub、Bitbucket、CodeCommit リポジトリにコードの変更がプッシュされた際に自動的なビルドを実行し、Environment へのデプロイと自動テストを実行する CodePipeline を Copilot を使ってセットアップする例を見ていきます。

Attention

AWS CodePipeline は OS ファミリーが Windows の Service をサポートしていません。 CodePipeline は、Build Stage で Linux ベースの AWS CodeBuild を使用しているため、現時点では Copilot Pipeline で Windows コンテナをビルドできません。

Why?

ソフトウェアリリースについての哲学的すぎる話はしませんが、果たしてリリースパイプラインを持つ意味とはなんでしょうか?copilot deploy コマンドを使えば手元のコンピューターから Amazon ECS on AWS Fargate へ直接デプロイできるのに、なぜわざわざ仲介する仕組みを挟むのでしょうか?良い質問です。あるアプリケーションにとっては、手動での deploy で十分なこともあるでしょう。一方で、例えば複数の Environment やあるいは自動テストが追加されていきリリースパイプラインが複雑化してくると、その退屈な作業を何らかの仕組みにオフロードしたくなるでしょう。2つの Service が2つの(例えばテスト環境と本番環境のような) Environment 内にそれぞれあるとして、それらに対してテスト環境へのデプロイ後のインテグレーションテストを手で実施することは驚くほどに面倒な作業になります。

CodePipeline のような自動化されたリリースツールは、あなたのリリース作業を管理可能なものにする手助けをしてくれます。たとえリリース作業自体がそれほど複雑なものではなかったとしても、git push さえすれば変更を自動的にデプロイできる体験は、ちょっとした魔法のように感じますよね 🌈

Pipeline の構成

Copilot はいくつかのコマンドで CodePipeline をセットアップします。作業を始める前に、まずは最終的に作成される Pipeline の構成を見ていきましょう。Pipeline は次に挙げる基本的な構造を持っています。

  1. Source Stage - 設定した GitHub、Bitbucket、あるいは CodeCommit リポジトリにプッシュすると、Pipeline の実行が開始されます。
  2. Build Stage - リポジトリからコードがダウンロードされると、Service 用のコンテナイメージがビルドされ、すべての Environment の Amazon ECR リポジトリにプッシュされます。加えて、Addon テンプレートや、 Lambda 関数 zip ファイル、環境変数ファイルなどのすべての入力ファイルが S3 にアップロードされます。

ソースコードがリポジトリホストから pull された後に、 Service のコンテナイメージがビルドされ、 各環境の ECR リポジトリにパブリッシュされます。加えて、Addon テンプレート、Lambda 関数 zip ファイル、環境変数ファイルなどのすべての入力ファイルが S3 にアップロードされます。

  1. Deploy Stages - ビルドが終わると、一部あるいはすべての Environment にデプロイできます。オプションとしてデプロイ前後のアクションやテストコマンドの実行に手動承認を挟むことが可能です。

Copilot を使って CodePipeline のセットアップを済ませたら、あとは GitHub、Bitbucket、あるいは CodeCommit リポジトリにプッシュするだけです。あとは CodePipeline がデプロイまでのプロセスを実行してくれます。

CodePipeline についてより深く学びたい場合は、CodePipeline のドキュメントも参考にしてください。

3 ステップで作る Pipeline

Pipeline の作成に必要な手順は3つです。

  1. 最初に Pipeline の作成準備と設定を実施します。
  2. 次に、copilot/ ディレクトリ以下に作成されたファイルをコミットして、リモート Git リポジトリにプッシュします。
  3. 最後にクラウド上へ Pipeline を作成して完了です!

ワークスペースのルートで以下の3コマンドを実行してみましょう。

$ copilot pipeline init
$ git add copilot/ && git commit -m "Adding pipeline artifacts" && git push
$ copilot pipeline deploy

Note

パイプラインが Environment にデプロイできるように、pipeline deploy を実行する間に、少なくとも 1 つのワークロード( Service または Job ) を開始しておく必要があります。

Application アカウント に新しい Pipeline が作成されたはずです!何が起きているのか、もう少し深く知りたいですよね?読み進めましょう!

ステップ・バイ・ステップで見る Pipeline のセットアップ

ステップ 1: Pipeline の設定

Pipeline の設定はワークスペースのレベルで作成されます。もしワークスペース内にある Service が1つの場合、Pipeline はその Service についてのみ実行されます。もしワークスペース内に複数の Service がある場合、Pipeline はそれら全てをビルドします。Pipeline のセットアップを始めるには、Service (あるいは Service 群)がある Application のワークスペースのディレクトリに cd コマンドなどで入り、次のコマンドを実行します。

copilot pipeline init

このコマンドの実行ではまだクラウド上の Pipeline は作成しませんが、Pipeline 作成に必要ないくつかのファイルを copilot/pipelines 以下に作成します。

  • Pipeline name: パイプラインの名前を [repository name]-[branch name] とすることをお勧めします。( 尋ねられた場合、 デフォルト名を受け入れるには 'Enter' ボタンを入力します)。これにより複数のパイプラインを作成した場合に、ブランチごとのパイプラインワークフローに従う場合にうまく機能でします。

  • Pipeline type: 'Workloads' または 'Environments' のいずれかを指定します。これにより、Pipeline がトリガーされたときに何をデプロイするかを決定します。

  • Release order: デプロイする Environment またはワークロードをデプロイする先の Environment を尋ねられます - どの Environment からデプロイを実施したいか、その順番にあわせて Environment を選択しましょう。(複数の Environment に対して同時にデプロイを実行することはありません)。最初に test Environment へデプロイし、その後 prod Environment へデプロイする、といった設定がよくある順番でしょう。

  • Tracking repository: デプロイする Environment またはワークロードをデプロイする先の Environment を選択すると、次にどの Git リポジトリを CodePipeline からトラックしたいかを尋ねられます。ここで選ぶリポジトリへのプッシュが、CodePipeline の Pipeline をトリガーするリポジトリとなります。(設定したい対象のリポジトリがここでリストに表示されない場合、 --url フラグで明示的に Git リポジトリの URL を渡すこともできます。)

  • Tracking branch: リポジトリを選択すると、 Copilot は現在のローカルブランチをパイプラインを利用するブランチとして指定します。これはステップ 2 で変更できます。

ステップ 2: Pipeline 用 Manifest ファイルの更新 (オプション)

Service はシンプルな Manifest ファイルを持ちます。同様に、Pipeline にも Manifest があります。pipeline init コマンドを実行すると、copilot/pipelines/[your pipeline name] ディレクトリ内に manifest.ymlbuildspec.yml という2つのファイルが作成されます。manifest.yml の中は次のような感じになっているはずです。 (ここでは "api-frontend" という Service が "test" と "prod" の2つの Environment にデプロイされるものと仮定しましょう)

# Pipeline 名 "demo-api-frontend-main" の Manifest
# この YAML ファイルは Pipeline を定義します。追跡するソースリポジトリと、Environment のデプロイ順序を指定します
# 詳細はこちら: https://aws.github.io/copilot-cli/ja/docs/manifest/pipeline/

# Pipeline 名
name: demo-api-frontend-main

# このテンプレートで利用されているスキーマバージョン
version: 1

# このセクションでは Pipeline の実行をトリガーするソースを定義します
source:
  # ソースコードのプロバイダ名を記述します
  # (例: GitHub, Bitbucket, CodeCommit)
  provider: GitHub
  # ソースコードの場所を追加で指定するプロパティです
  properties:
    branch: main
    repository: https://github.com/kohidave/demo-api-frontend
    # オプション: 既存の CodeStar Connections で作成された接続名を利用することも可能です
    # connection_name: a-connection

# このセクションでは Pipeline のデプロイ先となる Environment の順序を定義します
stages:
    - # Environment 名
      name: test
      test_commands:
        - make test
        - echo "woo! Tests passed"
    - # Environment 名
      name: prod
      # requires_approval: true
manifest.yml で利用可能な全ての設定項目については Pipeline Manifest をご覧ください。

このファイルには大きく 3 つのパーツがあります。最初の name フィールドは Pipeline に作成されるパイプラインの名称です。そして source セクションは Pipeline がトラックするソースリポジトリとそのブランチといった詳細を定義し、最後の stages セクションではこの Pipeline がデプロイする Environment そのものまたは Pipeline がワークロードをデプロイする際のデプロイ先の Environment を定義します。この設定ファイルはいつでも変更可能ですが、変更後は Git リポジトリへのコミットとプッシュ、その後 copilot pipeline deploy コマンドを実行する必要があります。

よくあるケースとしては、ワークロードをデプロイする先の Environment またはデプロイする Environment を変更したい、デプロイの順序を指定したい、デプロイの前後に実行する Pipeline のアクションを追加したい、トラックするブランチを変更したいといった際にこのファイルを更新することになるでしょう。また、デプロイ前に手動の承認ステップを追加したり、テストを実行するコマンドを追加したりすることもできます (カスタマイズ を参照)。あるいはもしすでに CodeStar Connections に接続済みのリポジトリがあり、Copilot で新たに作成するのではなく既存のものを利用したい場合には、その接続名を記述することになります。

ステップ 3: Buildspec ファイルの更新 (オプション)

pipeline init コマンドでは、manifest.yml と一緒に buildspec.ymlcopilot/pipelines/[your pipeline name] ディレクトリ内に作成されます。この buldspec.yml にはビルドとコンテナイメージのプッシュに関する指示が記述されています。もし docker build と一緒にユニットテストやスタイルチェックのような追加のコマンドを実行したい場合は、buildspec の build フェーズにそれらのコマンドを追加してください。

実際にこの buildspec が実行される際には、後方互換性の観点から pipeline init コマンドの実行に利用したバージョンの Copilot バイナリがダウンロードされ、利用されます。

あるいは、CodeBuild で実行するために独自の buildspec を設定できます。manifest.yml fileで、場所を指定します。

build:
  buildspec:

ステップ 4: リポジトリに生成されたファイルをプッシュする

manifest.ymlbuildspec.yml、そして .workspace ファイルが作成されたので、これらをリポジトリに追加しましょう。copilot/ ディレクトリ以下に含まれたこれらのファイルが、Pipeline が build ステージを正しく実行するために必要となります。

ステップ 5: Pipeline の作成

ここからが楽しいパートです!次のコマンドを実行しましょう!

copilot pipeline deploy

このコマンドはあなたの manifest.yml を解析し、Application と同じアカウントとリージョン の CodePipeline に Pipeline を作成し、Pipeline を実行します。AWS マネジメントコンソールにログイン、あるいは copilot pipeline status コマンドで Pipeline の実行状況を確認できます。

処理が完了した CodePipeline の様子

Info

もしあなたが GitHub あるいは Bitbucket リポジトリを利用する場合、Copilot は CodeStar Connections を利用してリポジトリとの接続を作成する手助けをします。この過程で GitHub や Bitbucket のアカウントに AWS がアクセスするための認証アプリケーションをインストールする必要があります (e.g. GitHub の場合、"AWS Connector for GitHub")。Copilot と AWS マネジメントコンソールのガイダンスにしたがってこのステップを進めてください。

ステップ 6: Pipeline の Copilot バージョンを管理する (オプション)

Pipeline を作成した後、buildspec.yml の以下の行を最新バージョンに更新することで、Pipeline で使用する Copilot のバージョンを管理できます。

...
      # Copilot Linux バイナリをダウンロードします
      - wget -q https://ecs-cli-v2-release.s3.amazonaws.com/copilot-linux-v1.16.0
      - mv ./copilot-linux-v1.16.0 ./copilot-linux
...

カスタマイズ

手動での承認

承認ステップを追加するには、require_approval フィールドを 'true' に設定します。なお CodePipeline コンソールから手動で操作しない限り、デプロイ前後のアクションは実行されません。

デプロイ前後のアクション

v1.30.0 では、各ワークロードまたは Environment のデプロイ前後において、Pipeline にアクションを挿入できます。データベース移行、テスト、その他のアクションを Pipeline Manifest に直接追加できます。

stages:
  - name: test
    require_approval: true
    pre_deployments:
      db_migration: # このアクションの名称
        buildspec: copilot/pipelines/demo-api-frontend-main/buildspecs/buildspec.yml # buildspec へのパス
    deployments: # 任意項目、デプロイの順序 
      orders:
      warehouse:
      frontend:
        depends_on: [orders, warehouse]
    post_deployments:
      db_migration:
        buildspec: copilot/pipelines/demo-api-frontend-main/buildspecs/post_buildspec.yml
      integration:
        buildspec: copilot/pipelines/demo-api-frontend-main/buildspecs/integ-buildspec.yml
        depends_on: [db_migration] # 任意項目、アクションの順序
buildspec Manifest フィールドに、プロジェクトルートからの相対パスで buildspec ファイルのパスを追加します。Copilot の環境変数 $COPILOT_APPLICATION_NAME$COPILOT_ENVIRONMENT_NAME は、これらの buildspecs 内で使用できます。

期待するデプロイメントの順序を指定するのと同じように、depends_on サブフィールドを使用してアクションの実行順序を指定できます。

Info

デプロイの前後やテストコマンド用に生成された CodeBuild プロジェクトは、Pipeline や Application と同じリージョンにデプロイされます。デプロイする Environment またはワークロードをデプロイする先の Environment の VPC にアクセスするには、デプロイ前後のアクションの buildspec で Copilot コマンドを使用するか、テストコマンドで直接 Copilot コマンドを使用します。

順序指定

deployments フィールドを使用すると、ワークロードまたは Environment のデプロイ順序を (Pipeline のタイプに応じて) 指定できます。これを指定しない場合、デプロイは並行して実行されます。 (詳細については、[このブログ記事]](../../blogs/release-v118.ja.md#controlling-order-of-deployments-in-a-pipeline)を参照してください。)

テスト

デプロイ後のテストに必要なコマンドはごく一部で、必ずしも別の buildspec を作成する必要がない場合は、test_commands フィールドを利用してください。

導入後のテストに必要なコマンドは少数のみで、必ずしも必要ではない場合別の buildspec を作成するには、test_commands フィールドを利用します。

Warning

ステージ内の post_deployments フィールドと test_commands フィールドは相互に排他的です。

デプロイ前、デプロイ後、およびテストコマンドは、aws/codebuild/amazonlinux2-x86_64-standard:5.0 イメージを使用して CodeBuild プロジェクトを生成するため、Amazon Linux 2 のほとんどのコマンド (make を含む) を使用できます。

テストの実行を Docker コンテナの中で実行するように設定していますか?Copilot では CodeBuild プロジェクトの Docker サポートを利用できますので、docker build コマンドも同様に利用可能です。

以下の例では、Pipeline は make test コマンドをソースコードディレクトリにて実行し、コマンドが正常に終了した場合のみ prod ステージに進みます。

name: demo-api-frontend-main
version: 1
source:
  provider: GitHub
  properties:
    branch: main
    repository: https://github.com/kohidave/demo-api-frontend

stages:
    - name: test
      # make test コマンドと echo コマンドが正常に終了した場合のみ
      # prod ステージに進みます
      test_commands:
        - make test
        - echo "woo! Tests passed"
    - name: prod

Info

AWS の Nathan Peck が素晴らしい例を提供しています。その例では test_commands に特に注目しています:https://aws.amazon.com/blogs/containers/automatically-deploying-your-container-application-with-aws-copilot/

Pipeline のオーバーライド

これらのカスタム設定のオプションをすべて使っても、期待する Ppeline を設定できない場合は、Copilot の一時回避的なソリューションである Pipeline オーバーライドを、CDK または YAML を使って Pipeline の CloudFormation テンプレートを変更できます。